先日、約8年前に留学生として来日し、その後「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で就労し、現在3年許可をもらっているという中国人男性から、法人設立と「経営・管理」への在留資格変更をしたいとのお電話がありました。
詳しく話を伺った後、「明確なビジョンや今やらないとチャンスを逃してしまうということがないのであれば、まずは永住許可を取得して、その後に起業することをお勧めいたします」とお伝えしました。
「経営・管理」の在留資格を取得する要件の一つとして、500万円以上の投資または常勤で2名の雇用する規模が必要となってきます。「永住者」であれば、投資と雇用どちらの要件にも縛られることがなくなります。法人設立するにしても、資本金額を気にすることなくスタートすることができ、心理的にも経済的にも負担が少なく済みます。
また「経営・管理」では、現業に携わることはできません。例えば飲食店経営者として在留資格「経営・管理」を持っている場合、料理人として調理することはもちろん接客係としてホールやレジを担当することもできません。「永住者」の在留資格であれば、調理も接客も可能です。
「経営・管理」では、経営に専念しなければなりません。売上が悪いからといって他のところにアルバイトやパートに行くには資格外活動許可が必要になります(資格外活動が許可されることは難しいです)。「永住者」は、犯罪に手を染めない限り、どんな仕事をしても構わないです。例えばお店を経営する傍ら、他のところで働くことも制限されません。
「技術・人文知識・国際業務」から「経営・管理」に在留資格変更すると、余程のことがない限り在留期限が「1年」になってしまいます。永住許可申請をするには、3年以上の在留期間が必要となることから、永住への道が遠くなってしまうことを意味します。さらに新規開業であれば、すぐに大きな利益が出て、報酬も十分もらい、納税もしっかりするということは厳しいでしょうから、3年の在留期間を入管からもらい、永住許可申請できるようになるにはどれだけ時間がかかるかわかりません。特に最近は、健康保険や年金の支払いがきちんとされているか、遅延がないかが重要になってきています。会社勤めであれば、基本的に健康保険料や年金保険料は特別徴収で給与から天引きのため、遅延することはあり得ませんが、経営者となって売上もままならない状態では、保険料の支払いを遅らせざるを得なくなるということも起きてきます。また、「経営・管理」から「永住者」への在留資格変更をする際は、「経営・管理」を保有する外国人本人だけでなく、その会社全体の健康保険料や年金保険料の支払い状況もチェックされるため、審査がより厳しくなっています。
「技術・人文知識・国際業務」で安定した収入があり、あと数年で永住許可申請できるというのであれば、「永住者」になるまでに預貯金を増やし、しっかりとした事業計画を立てることに費やす。そして永住を取得したらそれを実行に移すというのが、回り道になるかもしれませんが、結果的には確実ではないでしょうか。