入管法上の「上陸」と「入国」の意味の違い

同じような言葉でも、意味の使い分けがされています

「上陸」と「入国」。似たような言葉ですが、入管法上その意味は区別されています。

入管法上の「入国」と「上陸」の意味

入管法上「入国」とは、日本国の領域に入ることを意味しています。ですので、必ずしも足が地面に着く必要はなく、飛行機に乗って日本の上空に入ったり、船で日本の領海内に入ることを「入国」としています。

これに対し「上陸」は、実際に日本の領土に足を踏み入れることを意味します。

「入国」の条件

入管法第三条では「外国人の入国」を規定しており、第一項で以下のように記されています。

第三条 次の各号のいずれかに該当する外国人は、本邦に入つてはならない。
 一 有効な旅券を所持しない者(有効な乗員手帳を所持する乗員を除く。)
 二 入国審査官から上陸許可の証印若しくは第九条第四項の規定による記録又は上陸の許可(以下「上陸の許可等」という。)を受けないで本邦に上陸する目的を有する者(前号に掲げる者を除く。)

つまり、正規のパスポートを持っていない外国人、例え有効なパスポートを持っていたとしても上陸の許可を受けないで日本に上陸しようとする外国人は、日本の領空や領海さえも入ってはいけないと言っています。

偽造パスポートを所持して日本を目指すような外国人は、上陸以前の問題だというのは分かりますが、「有効なパスポートを持っていても上陸許可を受けないで上陸しようとしてはダメ」と規定しているのは不思議な感じを受けるかもしれません。

これは、日本国が「どこの国からどういった目的で外国人がやってくるのか」をきちんと把握する必要があるからであると言えます。許可なしで上陸できるとなれば、密入国者を取り締まることもできず、国内の治安が悪くなってしまいます。

「上陸」の条件

上陸するには、上述の入管法第三条にある入国審査官から上陸の許可を受ける必要があります。では、どうすれば許可を得られるのかということについては、入管法第七条「入国審査官の審査」に具体的に規定されています。

第七条 入国審査官は、前条第二項の申請があつたときは、当該外国人が次の各号(第二十六条第一項の規定により再入国の許可を受けている者又は第六十一条の二の十二第一項の規定により交付を受けた難民旅行証明書を所持している者については、第一号及び第四号)に掲げる上陸のための条件に適合しているかどうかを審査しなければならない。
一 その所持する旅券及び、査証を必要とする場合には、これに与えられた査証が有効であること。
二 申請に係る本邦において行おうとする活動が虚偽のものでなく、別表第一の下欄に掲げる活動(二の表の高度専門職の項の下欄第二号に掲げる活動を除き、五の表の下欄に掲げる活動については、法務大臣があらかじめ告示をもつて定める活動に限る。)又は別表第二の下欄に掲げる身分若しくは地位(永住者の項の下欄に掲げる地位を除き、定住者の項の下欄に掲げる地位については法務大臣があらかじめ告示をもつて定めるものに限る。)を有する者としての活動のいずれかに該当し、かつ、別表第一の二の表及び四の表の下欄に掲げる活動を行おうとする者については我が国の産業及び国民生活に与える影響その他の事情を勘案して法務省令で定める基準に適合すること。
三 申請に係る在留期間が第二条の二第三項の規定に基づく法務省令の規定に適合するものであること。
四 当該外国人が第五条第一項各号のいずれにも該当しないこと(第五条の二の規定の適用を受ける外国人にあつては、当該外国人が同条に規定する特定の事由によつて第五条第一項第四号、第五号、第七号、第九号又は第九号の二に該当する場合であつて、当該事由以外の事由によつては同項各号のいずれにも該当しないこと。以下同じ。)。
2 前項の審査を受ける外国人は、同項に規定する上陸のための条件に適合していることを自ら立証しなければならない。この場合において、別表第一の二の表の高度専門職の項の下欄第一号イからハまでに掲げる活動を行おうとする外国人は、前項第二号に掲げる条件に適合していることの立証については、次条に規定する証明書をもつてしなければならない。
3 法務大臣は、第一項第二号の法務省令を定めようとするときは、あらかじめ、関係行政機関の長と協議するものとする。
4 入国審査官は、第一項の規定にかかわらず、前条第三項各号のいずれにも該当しないと認める外国人が同項の規定による個人識別情報の提供をしないときは、第十条の規定による口頭審理を行うため、当該外国人を特別審理官に引き渡さなければならない。
 
これを簡単にまとめると、
  1. 偽造パスポートを使っていない。本物のパスポートあっても、滞在に必要な期間以上の残存期間がある。有効期限内のビザがある。
  2. 滞在目的がウソではないだけでなく、上陸しようとする在留資格で規定されている活動をする予定である。また、「経営・管理」、「技術・人文知識・国際業務」、「技能」といった就労系在留資格や「留学」、「研修」、「家族滞在」の在留資格で上陸しようとする場合は、出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令にも適合している必要がです。
  3. 在留期間が、出入国管理及び難民認定法施行規則に適合している。
  4. 他人に感染させる恐れのある病気がある、犯罪歴がある、お金がない、過去に退去強制された等日本国に上陸させることにより問題が発生する可能性があるということに該当しない。

ということになります。そしてこれらの立証責任は外国人本人でする必要があると定められています。

また、入管法第六条で規定される例外者以外は、上記上陸の条件に適合していたとしても、指紋提供や顔写真の撮影に協力しなければなりません。

 

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